社員コラム

COLUMN

2019.10.31

佐次清 隆之

サード・プレイスとしてのモビリティ-クルマが交流の場になる-

奥能登の中核都市である輪島市だが、2006年2月に3.4万人だった人口は2018年には2.7万人(2018年度人口集計表)と減少傾向が続き、高齢化率は43.1%(2013年 総務省)に達し、高齢化の進行と人口減少による地域内移動の問題に直面している。そこで、同市では輪島商工会議所の主導の下、「地元の高齢者の外出を増やして地域内の交流を活発にし、地域の活性化に繋げる」ことを目標に、電動カートを活用した次世代交通対策事業WA-MO(ワーモ:Wajima Small Mobility)に乗り出した。

同事業は2011年度のマリンタウン(観光施設)敷地内での社会実験を皮切りに、2014年度には軽自動車ナンバーをつけて公道走行を実施、2015年度には2つのコースで定時・定路線の運行を開始、2016年度からは一部区間で自動走行を行っている。現在、WA-MOは「周遊内回りコース」と「周遊外回りコース」、「塗巡りコース」の3コースで運行。周遊コースは40分/周で、1コースに2台の車両を走らせているので20分間隔で運行、自動運転区間のある塗巡りコースは約25分/周。車両はヤマハ発動機から無償貸与され、乗車定員4名の車両が4台、乗車定員7名の車両が3台。車両速度は最大19km/hである。コンパクトな市街地なので、ルート内に病院、行政機関、商業施設、学校、観光施設など主要な目的地はカバーされている。

WA-MOの利用者数は2015年度の2,170人から2018年度は4,733人へと大きく増加、さらに2019年度は7月末時点で前年同期比291%増の4,120人と急増。しかも注目されるのは、2018年度までは地元利用が約3割、観光客利用約7割という構成だったのが、2019年度は逆転して地元利用が7割近くに上昇しており、地域の移動手段としてWA-MOが定着し始めていることがみてとれる。輪島商工会議所はWA-MO事業を橋や道路と同じ社会基盤とみなし、料金は無料としている。今後どのようにマネタイズしていくかの課題はあるものの、地域に新たな社会基盤が形成されることの意義は大きい。

WA-MOに車両を提供しているヤマハ発動機も、モビリティに対する基本的考え方として「Mobility as a 3rd place」を掲げている。これは、モビリティを移動のみを目的として追求するではなく、地域の生活の質向上のための手段として位置付け、地域住民の交流の場としてモビリティを提供し、言わばモビリティを地域生活の中に埋め込むという考え方だといえる。WA-MO事業は、移動の効率性の追求とは次元の異なるモビリティのあり方を志向する事例として注目される。

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本記事(社員コラム)は、日常の調査・研究活動にて得られた情報、視点により、弊社社員が独自にまとめたものです。当社の見解や立場を代表するものではないことをご了承下さい。

参考)輪島商工会議所のHP

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