社員コラム

COLUMN

2019.11.21

中野 直哉

クルマはどこまで自然の猛威を超えられるか

悪天候と自動運転

今回は悪天候と自動運転、さらには水没の危険とその回避等について考えてみたい。最近の我が国では尋常ならざる自然災害が継続的といっていいぐらいに発生し、車両の水没も多発しているのだが、車両が水没してしまうようなレベルでなくても、悪天候では自動運転の精度が低下する。現状の技術では一つは、自動車がセンサー等(超音波センサー、ミリ波レーダー、LiDAR等)で周囲を「見る」、つまり対象を検知することができる、という前提がある。しかし豪雨や大雪では、「見る」機能が低下する。

地下地図による自動運転

そこで幾つかの新機軸が登場している。たとえば米国のスタートアップWaveSense社*1は、地上ではなく「地下地図」によって自動運転の精度を高める取組みを発表している。地下の状況は地上に比べ、変化が極めて少ない。しかも場所により特有の特徴があるという。そこで車両の底部に小型の地中レーダーを設置し、それにより「地下マップ」を作成、走行しながら自動運転に必要な位置情報のデータを作成する(高速でも可能だという)。二度目にその車両が当該地点やルートを走行する場合、雨でも雪でも自動運転を高度に支援できるという仕組みだ。

赤外線カメラによる自動運転

一方、イスラエルのスタートアップADASKY社*2は、対象物を検知するソリューションとして赤外線カメラ(高解像度サーマルカメラ)によるシステムを打ち出した。車両の前部、グリル等に直径3cm弱×4cm強のごく小型のサーマルカメラを設置する。雨天や雪で視界が悪くても、人やモノから放射される熱エネルギーが検知できる。検知レンジもヘッドライトの数倍の距離をカバーできるという。

水に浮いて移動するEV登場

2つの技術は現状の自動運転の弱点を補強する位置付けながらも、キット等の設置やシステムの利用が低コストで手軽に適用できるのが強みだ。だがあくまでも、自動車が走行できる状態であることが条件である。水没して動けない状況のソリューションではない。これに対しては日本のベンチャー、FOMM社が「水に浮いて移動できるEV」を今回の東京モーターショーで発表した*3。報道では200台程度をタイ市場に出したと言うが、今後は日本でも「クルマが浮く」技術はリスクへの備えになるのではないか。

今後は

我が国でも今後、どんな気候条件の変動が生じるか、予断を許さない。荒天でも自動運転が可能となり、さらに水没のような状況では人命を救うというソリューションが重要になるのではないだろうか。毎年、洪水等の水害で世界中でかなりの台数の水没車両が発生する*4。車両の損失量もさることながら、一人でも多くの人命を救えるクルマが求められるだろう。

*1 WaveSense社コーポレートサイト https://wavesense.io/
*2 ADASKY社コーポレートサイト https://www.adasky.com/
*3 報道 https://response.jp/article/2019/10/17/327689.html
https://jp.reuters.com/article/usa-storms-idJPKBN0OC01X20150527
*4 報道 https://response.jp/article/2019/10/25/328013.html

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