ブロックチェーン技術が輸送トラブル、輸送の効率化に役立つ!

『ブロックチェーン技術を活用した新たなビジネス』
~輸送データの一括管理・利用が輸送の効率化と食品ロスを救う~

ブロックチェーン技術はもともと、仮想通貨ビットコインを実現させるために生まれた技術だ。このブロックチェーン技術は同技術の用途の拡張、ブロック生成時間の短縮等での改良と発展が進行中。情報化・サービス化の基盤技術として金融以外の分野にも活用する動きが広がっており、新ビジネスの試みも始まっている。以下に紹介するのは、「商流管理」分野での新サービスの一例である。

輸送中のトラブル(破損や腐敗)による食品ロスの損害額は全世界で年間約5000億ドルと推定されている(米Newsweek誌)。日本円で約54兆円(換算レート1ドル=約107円)は相当な額で、世界飢餓人口は増加傾向にあるというのに、何とも皮肉な数字だ。商品は消費者の手元に届くまでに何千キロもの距離を移動し大勢の人手を経るが、輸送データは輸送業者ごとに管理されているために、情報が共有されにくく、そのため輸送トラブルの原因も掴みにくいことがネックになっていると見られる。

こうした課題解決にブロックチェーン技術を活用し、食品の安全安心効率的な輸送に役立つ正確な物資追跡サービスの実験に乗り出す企業が登場した。インドのスタートアップ企業スタトウィグ社である。同社は物資のサプライチェーンプロセスに注目。インド国内で輸送中の物資をブロックチェーンとIoTの組み合わせで追跡し、輸送プロセスのデータをブロックチェーンに保存することによって、食品データの改変防止、輸送トラブルへの即時対応、輸送の効率化を実現するという。

さらに同社は、鮮度が決め手の海産物の輸送ルートの追跡サービスにも取り組んでいる。気温の高いインドでは、特に海産物の輸送トラブルは深刻な食品ロスを生むため、ブロックチェーン技術を活用した輸送ビジネスへの効果が期待されているところである。

こうしたブロックチェーン技術を活用した新たなサービスは各国、各分野で徐々に拡がってきてはいるが実証事業段階にある。ブロックチェーン技術については、例えばオープンかつ高効率・高信頼なサプライチェーンを実現する可能性があるなど、有益性を伴った社会経済へのインパクトが予想される一方で、社会実装化に向けて必要に応じて規制等を見直すなどクリアする課題も多い。

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