インフラシステム輸出にみるモビリティ技術展開の好機
~Afterコロナの非接触/DX交通インフラシステムを海外に展開~

概要

国土交通省は赤羽大臣を本部長として「国際政策推進本部」を開催、「国土交通省インフラシステム海外展開行動計画2020」を決定。従来の海外展開の取組み課題を抽出、今後の主な施策を策定。DX(デジタルトランスフォーメーション)等の世界の急激な変化及び新型コロナウィルスの影響を踏まえたインフラシステム海外展開に係る取組みに触れている。陸海空のインフラを併せ、「行動計画」ではとくに世界の交通インフラ市場の伸びとその需要取り込みの重要さに言及されている。
(国土交通省インフラシステム海外展開行動計画 2020はこちら)

*モニタリング期間:2020年7-8月

公表情報タイトル:「国土交通省インフラシステム海外展開行動計画2020」を決定
発信元:国土交通省 2020年7月7日

行動計画2020「展開意義」のポイント

  1. 持続的成長に寄与
    ・日本で人口減少、少子高齢化に伴い国内市場が縮小する一方、新興国を中心に膨大なインフラ需要(とくに交通インフラ)があり、これを取り込むことで日本の持続的な成長が期待できる。
  2. 日本のイメージ向上
    ・インフラシステム海外展開は、国際協力の側面もあり、重要インフラ整備は相手国経済発展に不可欠。日本の高度成長時代の経験を活かし新興国の社会課題解決に寄与することは日本のイメージ向上にもつながる。
  3. 新たな取組みによる国と企業の地位向上
    ・SDGsやDX、新型コロナウィルスによる価値観の変化により、非接触型インフラ整備や、グローバルな医療サプライチェーンを支える物流システムづくりも求められる。これらへの取組みが日本及び我が国企業の地位向上につながる。

現文研の視点

国土交通省の「インフラシステム海外展開行動計画」は、2017年来毎年策定、公表され、我が国インフラ海外展開戦略の重要な指針の一つであり、さらに大きな流れとしては2010年「新成長戦略」、2013年内閣官房「経協インフラ戦略会議」の流れに位置づけられる。コロナパンデミックで不透明な経済、社会情勢の中、大企業から中小企業含め、さらに一貫性を持ちながらかつ具体的で取り組みやすい支援施策も望まれる。

日本企業のインフラ海外展開受注額推移


日本はインフラシステム海外展開に日本企業受注額を2010 年の約 10 兆円から 2017 年には約 23 兆円へと伸ばしている。中でも国土交通分野受注額は交通分野約 1.7 兆円、基盤整備分野約 2.9 兆円であり2010 年比の伸び率はいずれも約3倍。全体(約2.3倍)に比べ伸び率が高い。

出典)国土交通省

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関連情報
国土交通省インフラシステム海外展開行動計画 2020
総務省「情報通信白書」平成30年版 官民による取組:インフラ輸出

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